君と花を愛でながら
「私が届けましょうか」
不意に声がして、作業台からブーケが二つ消えた。
見上げると一瀬さんが私とは目を合わさずに二種類のブーケを手に「どちらを、どなたに渡せばいいですか?」と尋ねる。
「いいです、私が届けます」
見上げながら笑ってみせると、一瀬さんの瞳が少し揺れた気がした。
かっこ悪いなあ、と少し恥ずかしくなる。
こんな綺麗な男の人の目の前で私は失恋しちゃうんだ。
片山さんにも、もうバレバレだろうし。
ブーケを一瀬さんの手から取り戻して、カウンターに戻るともうスイーツのプレートは出来上がっていた。
恥ずかしいし情けないけど……ブーケを悠くんに手渡すのだけは任せたくなかった。
初めての恋。
あんなに気づいてほしいと願って告白しようと決めたのに、今は違った。
だって、かなうはずない。
愛しげに、幸せそうな悠くんの横顔が目に焼き付いて少しも消えてくれないの。
だから、お願い気づかないで。
悠くんが姉を連れてきたのは、今年のチョコレートにいつも以上の意味はないと、そう思ったからだよね?
気づいたからじゃないよね?
不意に声がして、作業台からブーケが二つ消えた。
見上げると一瀬さんが私とは目を合わさずに二種類のブーケを手に「どちらを、どなたに渡せばいいですか?」と尋ねる。
「いいです、私が届けます」
見上げながら笑ってみせると、一瀬さんの瞳が少し揺れた気がした。
かっこ悪いなあ、と少し恥ずかしくなる。
こんな綺麗な男の人の目の前で私は失恋しちゃうんだ。
片山さんにも、もうバレバレだろうし。
ブーケを一瀬さんの手から取り戻して、カウンターに戻るともうスイーツのプレートは出来上がっていた。
恥ずかしいし情けないけど……ブーケを悠くんに手渡すのだけは任せたくなかった。
初めての恋。
あんなに気づいてほしいと願って告白しようと決めたのに、今は違った。
だって、かなうはずない。
愛しげに、幸せそうな悠くんの横顔が目に焼き付いて少しも消えてくれないの。
だから、お願い気づかないで。
悠くんが姉を連れてきたのは、今年のチョコレートにいつも以上の意味はないと、そう思ったからだよね?
気づいたからじゃないよね?