君と花を愛でながら
「ああっ?! ホットチョコなんか飲んでる!」
「えっ? あ、すみませんマスターが入れてくださって」
厨房から出てきた片山さんの声に、泣き顔を見られたくなくて慌てて拭うと顔を上げた。
てっきり後片付けをサボってホットチョコを飲んでることを怒られたのかと思ったら、片山さんの手にはバレンタインプレートが乗っていて、私は目をぱちぱちと瞬いた。
「綾ちゃん用に残しといたやつ、持ってきたのに」
「えっ、嬉しい! いただきます、いただいていいんですか?」
「いいけど……口ん中、甘ったるそう」
「では、入れなおしましょうか。紅茶でも……」
「大丈夫です!」
片山さんは、もしかしたら私に告白を嗾けたことに責任を感じて心配してくれてたんだろうか。
そう思うと少し申し訳なくて、両手を差し出してプレートを受け取ると、少しわざとらしいくらいに燥いで見せた。
「チョコレート、大好きです。まさかお二人から逆チョコもらえるなんて」
「綾ちゃんが好きなら毎日作ってあげるのに」
「や、毎日はさすがに太ります」
チョコレートを頬張る私を見て、二人がほんの少し安心したような表情を浮かべてくれる。
そんな優しさに触れたら、折角こらえられていたものも溢れ出してしまって、片山さんを慌てさせてしまった。
「……ふえっ」
「うわっ、泣くなって! よく我慢したよな」
「うえええぇぇん」
わしわしと片山さんに頭を撫でられながら、結局二人の目の前でぼろぼろ涙を零しながら綺麗にプレートもホットチョコも平らげて。
ほろ苦い、私の初恋とバレンタインは終わった。
「えっ? あ、すみませんマスターが入れてくださって」
厨房から出てきた片山さんの声に、泣き顔を見られたくなくて慌てて拭うと顔を上げた。
てっきり後片付けをサボってホットチョコを飲んでることを怒られたのかと思ったら、片山さんの手にはバレンタインプレートが乗っていて、私は目をぱちぱちと瞬いた。
「綾ちゃん用に残しといたやつ、持ってきたのに」
「えっ、嬉しい! いただきます、いただいていいんですか?」
「いいけど……口ん中、甘ったるそう」
「では、入れなおしましょうか。紅茶でも……」
「大丈夫です!」
片山さんは、もしかしたら私に告白を嗾けたことに責任を感じて心配してくれてたんだろうか。
そう思うと少し申し訳なくて、両手を差し出してプレートを受け取ると、少しわざとらしいくらいに燥いで見せた。
「チョコレート、大好きです。まさかお二人から逆チョコもらえるなんて」
「綾ちゃんが好きなら毎日作ってあげるのに」
「や、毎日はさすがに太ります」
チョコレートを頬張る私を見て、二人がほんの少し安心したような表情を浮かべてくれる。
そんな優しさに触れたら、折角こらえられていたものも溢れ出してしまって、片山さんを慌てさせてしまった。
「……ふえっ」
「うわっ、泣くなって! よく我慢したよな」
「うえええぇぇん」
わしわしと片山さんに頭を撫でられながら、結局二人の目の前でぼろぼろ涙を零しながら綺麗にプレートもホットチョコも平らげて。
ほろ苦い、私の初恋とバレンタインは終わった。