君と花を愛でながら
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花屋カフェflowerparc
二度目に訪れたのは、受験に失敗して引きこもった後、心配した姉が荒療治と称して無理やり二度目のオープンキャンパスに誘った日だった。


……行きたくないけど、お姉ちゃんが待ってる。


そう思うと約束をすっぽかすこともできず、それでも前向きにはなれなくて駅から大学までの道を時間稼ぎのようにトボトボと歩いて向かっていて。
一年前と同じように、その綺麗な外観にまた目が惹きつけられふらりと中へ入ってしまった。


窓側のテーブル席で、ぼんやりと窓の外を見ていると、大学生っぽい人たちが通り過ぎていく。
私、あんな風になりたかったのかな。わかんない。


ただ、高校を卒業して次へ進むなら、お姉ちゃんや悠くんと同じ場所に行きたかった。
そんな不純な動機しかなかった自分が情けなくて、かといって何がしたいのかわからなくてすっかり私は迷子だった。


オーダーしたカフェオレが運ばれてきた時、外を女子高生の集団が賑やかに通り過ぎて、再び窓の外へ視線が向いた。


店の中にまで聞こえるくらい元気の良い声だった。


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