君と花を愛でながら
悠くんって案外鈍いのかな。
なんてちょっと失礼なことを考えながら、苑ちゃんのぴったり当たってしまってる推測をかわそうとして言葉を探して。
「そんなわけないし、悠くんは……」
お姉ちゃんしか、見えてないんじゃないかなって。
つい、口をついて出てしまいそうになって慌てて噤んだ。
だって、私は苑ちゃんも大好きだから。
人の気持ちって、なんで都合よくいかないんだろう。そう思うと悲しくなって、へらって弱弱しい笑顔しか出なかった。
「わざわざ後押ししなくてもよかったんじゃない? どーせ、そのうちくっつきそうだし」
って苑ちゃんが冗談めかして言ったけど、とても冗談には聞こえなくて。
返す言葉が見つからずに、ブーケに集中するフリをするしかなかった。
それきり会話はなくブーケ作りに没頭して、最後に持ち手の部分に結ぶリボンの色を苑ちゃんに選んでもらうと、彼女はパステルグリーンの細いリボンを指差した。
「はい、出来ました!」
ラウンド型の可愛らしい形に仕上がって、これは褒めてもらえるんじゃないかなって、自信たっぷりに苑ちゃんに差し出した。
「うーん……まあまあじゃない?」
「ええっ?! 結構自信作なのに!」
「あはは! 噓だって。すごくいいよ。上手いじゃん、綾」
笑いながら苑ちゃんはブーケを受け取って、槍水仙に顔を近づけて目を閉じる。
「いい香り。私、イキシア大好きなんだよね」
「え、それ槍水仙じゃないの?」
「それは和名。最近はイキシアって呼ぶ方が多いんじゃない?」
苑ちゃんはとても大切そうに花束を抱きしめて、深く息を吸い込んで。
「花言葉は『秘めた恋』だって」
そう言いながら、目を伏せて微笑んだ。
なんてちょっと失礼なことを考えながら、苑ちゃんのぴったり当たってしまってる推測をかわそうとして言葉を探して。
「そんなわけないし、悠くんは……」
お姉ちゃんしか、見えてないんじゃないかなって。
つい、口をついて出てしまいそうになって慌てて噤んだ。
だって、私は苑ちゃんも大好きだから。
人の気持ちって、なんで都合よくいかないんだろう。そう思うと悲しくなって、へらって弱弱しい笑顔しか出なかった。
「わざわざ後押ししなくてもよかったんじゃない? どーせ、そのうちくっつきそうだし」
って苑ちゃんが冗談めかして言ったけど、とても冗談には聞こえなくて。
返す言葉が見つからずに、ブーケに集中するフリをするしかなかった。
それきり会話はなくブーケ作りに没頭して、最後に持ち手の部分に結ぶリボンの色を苑ちゃんに選んでもらうと、彼女はパステルグリーンの細いリボンを指差した。
「はい、出来ました!」
ラウンド型の可愛らしい形に仕上がって、これは褒めてもらえるんじゃないかなって、自信たっぷりに苑ちゃんに差し出した。
「うーん……まあまあじゃない?」
「ええっ?! 結構自信作なのに!」
「あはは! 噓だって。すごくいいよ。上手いじゃん、綾」
笑いながら苑ちゃんはブーケを受け取って、槍水仙に顔を近づけて目を閉じる。
「いい香り。私、イキシア大好きなんだよね」
「え、それ槍水仙じゃないの?」
「それは和名。最近はイキシアって呼ぶ方が多いんじゃない?」
苑ちゃんはとても大切そうに花束を抱きしめて、深く息を吸い込んで。
「花言葉は『秘めた恋』だって」
そう言いながら、目を伏せて微笑んだ。