君と花を愛でながら
第三話 ピンクのバラの花束を
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季節は春。
通りの向こう側にある桜の木から、風に吹かれたピンクの花びらが舞い散る中、初々しい新入生らしい姿が緩やかな坂を上っていく。
私は未だフリーターのままだけど、そんな季節を案外穏やかに見送ることができ、葉桜に変わったところで急激に気温が上がった。
ツツジの花が色とりどりにあちこちで咲き始める季節、特にカルミアという花が私は好きだった。
小さな蕾が密集して、すべて開くと白いパラソルが開いたようになる。
……可愛いパラソル。こんな白い日傘が欲しいな。
そう思いながら、今日も軽やかにカフェまでの傾斜を歩いた。
「おはようございまあす。あ、マスター手伝います」
「おはようございます。こちらは大丈夫ですから、カフェの方の準備をお願いします」
店に着くと、一瀬さんが花屋スペースの掃き掃除をしてくれていて、近寄った私に目線でテーブル席の方を示した。
私は「はあい」と返事をしてから、荷物をカウンター下の手荷物置き場に押し込みショートエプロンを腰に巻く。
この頃は、以前より少し早めに店に来るようにしている。
でないと、一瀬さんが花屋の方の片付けを全部ひとりでしちゃうから。
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季節は春。
通りの向こう側にある桜の木から、風に吹かれたピンクの花びらが舞い散る中、初々しい新入生らしい姿が緩やかな坂を上っていく。
私は未だフリーターのままだけど、そんな季節を案外穏やかに見送ることができ、葉桜に変わったところで急激に気温が上がった。
ツツジの花が色とりどりにあちこちで咲き始める季節、特にカルミアという花が私は好きだった。
小さな蕾が密集して、すべて開くと白いパラソルが開いたようになる。
……可愛いパラソル。こんな白い日傘が欲しいな。
そう思いながら、今日も軽やかにカフェまでの傾斜を歩いた。
「おはようございまあす。あ、マスター手伝います」
「おはようございます。こちらは大丈夫ですから、カフェの方の準備をお願いします」
店に着くと、一瀬さんが花屋スペースの掃き掃除をしてくれていて、近寄った私に目線でテーブル席の方を示した。
私は「はあい」と返事をしてから、荷物をカウンター下の手荷物置き場に押し込みショートエプロンを腰に巻く。
この頃は、以前より少し早めに店に来るようにしている。
でないと、一瀬さんが花屋の方の片付けを全部ひとりでしちゃうから。