君と花を愛でながら
「勿論、喜んで。どれくらいの大きさにしましょうか? 予算とかありますか? 他の色味もいれます?」


静さんの表情が、何かを振り切ったかのようにぱっと鮮やかに華やいだ。
だから私も張り切って静さんの隣に立って他の花を見渡す。


だけど彼女は、頭を振ってピンクのバラを指差した。



「この花だけでいいわ、予算も気にしないから、嫌味なくらい大きな花束を作って」

「嫌味なくらい、ですか」

「全部使ってくれてもいいわよ」

「ええっ?!」



驚いて静さんの顔を思わず振り仰いだ。


憂いは、もう見えない。
だけど、妖艶で悪戯な表情を初めて見せる静さんに、女の私がなぜかどきどきしてしまった。 
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