君と花を愛でながら
「ピンクのバラ……何の意味だったんだろう?」

「こないだ見に行ったっての、「戦場のバラ」でしょ? 篠原愛記監督の最新作」



声に振り向くと、いつから見てたのか厨房から片山さんまでカウンターまで出てきていた。



「そう、それ。片山さん、見たんですか?」

「俺は見てないけど、見た奴に聞いた。
戦地に向かう恋人に、大輪のピンクのバラを贈るって話。死ぬかもしれない彼に、大切なことを告げるべきか迷って花に託した女性の話」



ざっくりと話してくれた映画の内容は、あまりハッピーエンドと思えるようなものではなくて、益々静さんたちが心配になってしまったけれど……驚かされたのは、その後だった。



「バラって色とか大きさとかで花言葉が結構細かく分けられてるんだって、知ってた?」

「はい、詳しくは知らないんですけど……」

「大輪のピンクのバラの花言葉、なんだと思う?」



メジャーな花だし聞いたことくらいあるかな……と思ったけれど、記憶を辿っても『大輪のピンクのバラ』だなんてピンポイントでは聞いた覚えがなかった。

< 91 / 277 >

この作品をシェア

pagetop