君と花を愛でながら
花言葉といえば……と、つい一瀬さんを見上げる。彼はわずかに瞠目して何かに驚いているようで。
片山さんもそれに気付いて、にやにやと笑っていた。
「え、なんですか、二人だけでわかってないで教えてくださいよ!」
「妊娠してんじゃない?」
「はっ?」
「だから、静さん。大輪のピンクのバラは『赤ちゃんがいます』って意味なんだって。花言葉ってそんなんまであるんだな」
くくっ、となんだかやらしい笑い方をする片山さんを横目に、私は目がテンになったまま固まってしまい、頭の中で何度かそのワードをリピートさせる。
……妊娠。にんしん?
赤ちゃん、が、います。
「え、え―――っ!!」
「はい、そこまで。噂話は控えてくださいとお願いしたはずです」
「自分だって聞いてたくせに」
驚いて目を白黒させている間に、一瀬さんに話を打ち切られてしまったけれど……他人事のはずなのになんだか妙に興奮して心臓がドキドキと高鳴った。
あ、だから。コーヒーじゃなくてホットミルクだったのかなあ。
そう納得して、ふんふんと一人頷いていると「それよりも」と、いつもより少し低い抑揚のない声が聞こえた。
「……綾さん。いくら腹が立っても、食って掛かっていい理由にはなりません」
片山さんもそれに気付いて、にやにやと笑っていた。
「え、なんですか、二人だけでわかってないで教えてくださいよ!」
「妊娠してんじゃない?」
「はっ?」
「だから、静さん。大輪のピンクのバラは『赤ちゃんがいます』って意味なんだって。花言葉ってそんなんまであるんだな」
くくっ、となんだかやらしい笑い方をする片山さんを横目に、私は目がテンになったまま固まってしまい、頭の中で何度かそのワードをリピートさせる。
……妊娠。にんしん?
赤ちゃん、が、います。
「え、え―――っ!!」
「はい、そこまで。噂話は控えてくださいとお願いしたはずです」
「自分だって聞いてたくせに」
驚いて目を白黒させている間に、一瀬さんに話を打ち切られてしまったけれど……他人事のはずなのになんだか妙に興奮して心臓がドキドキと高鳴った。
あ、だから。コーヒーじゃなくてホットミルクだったのかなあ。
そう納得して、ふんふんと一人頷いていると「それよりも」と、いつもより少し低い抑揚のない声が聞こえた。
「……綾さん。いくら腹が立っても、食って掛かっていい理由にはなりません」