君と花を愛でながら
「そういう話ではなくて……」

「そういう話でしょ。それに、すぐに一生懸命になるとこ、綾ちゃんのいいところだと思うけど」



またしても、一瀬さんを遮って言い返す片山さん。
あんなに、感情的になるなと忠告してくれてた片山さんがそんな風に庇ってくれるとは思わなくて、私はびっくりして頭を振った。



「悪いのは私ですからっ、ほんとに……」

「でも俺、綾ちゃんのそういうとこすごくいいと思ったし。好きだよ」

「えっ?」



なんだかひっかかるニュアンスに、大した反応もできないまま片山さんを見つめてしまう。


いや、今の……ふつうに、私の良い部分だと褒めてくれた、だけだよね?


わかってても自然急上昇する私の頬の熱は。



「人のことなのに一生懸命になって泣いたり怒ったりできる綾ちゃんが、好きだよ」



ぼんっと音がしそうなくらい、最高温度に達した。


同時に酷く心細い感情に襲われて目を逸らした先には、少し目を見開いて驚いている様子の一瀬さんがいて。


でも、それ以上の感情は見えない、何も。
この時私はなんで一瀬さんを見て、その表情の向こうに何を見ようとしたんだろう。


自分でも、よくわからない。
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