君と花を愛でながら


「早く食べないとお客さん来たら食べれなくなっちゃいますよ?」

「食べてるよ、ちゃんと」



私がつい、唇を尖がらせて文句を言っても片山さんは全く動じないし、半分私の方へ向けた身体の角度も変わらない。


それどころか、尖がった私の口許を見て「ついてるよ」と手を伸ばしてくるから、「だっ、大丈夫です!」と、慌てて自分の指で拭った。


そんな風におろおろする私を見て、片山さんはクスクス笑うのだ。
とにかく何かと私を見るし構おうとする、この空気がすっごく……緊張する。


こんな状況が此処しばらくずっと続いていた。



『人のことなのに一生懸命になって泣いたり怒ったりできる綾ちゃんが、好きだよ』



そんな風に言ってくれた、あの日から。


あれはただ単に、私の性格をフォローして庇ってくれただけだと思う、のだけど。


サンドイッチの最後の一口をもぐもぐと食べ終えまたちらりと見上げると妙に甘ったるい目線とぶつかって、遂に私は敗北宣言をした。

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