優しい彼は残酷な人。
それから、私達は週に何回か会うようになった。
どこかてご飯を食べたり、えっちをしたり、何もしないでただ側にいたり。
会わない日は電話で話したりもした。
__そして、いつの間にか
私の日常に当たり前のようにいる朔。
そんなある日、夜中に電話が鳴った。
「...俺、朔。今から会えない?」
朔はほとんど突然『会えない?』と電話してくる。
そんな『会えない?』の言葉は問うように言うけれど
それは問うているようで、ないも同然だった。
最初から、私に拒否することなんて
できないことを朔はきっと知っている。
「...何時だと思ってるの?
......真冬の夜は寒いから、やだよ。」
私がそう言うと、
「今、沙羅の家の前にいるから、待ってる。」
それだけ言って電話を切った朔。