優しい彼は残酷な人。
私は彼の方を改めて見る。
見上げるほどの長身に端整な顔立ちの男だった。
「あの...助けてくれてありがとうございます。」
そう言ってペコっとお辞儀をした。
すると、彼は
「...いえ、どういたしまして」
と言って微笑んだ。
その顔はひどく綺麗で、
私はなぜだか恐怖にも似たものを覚えた。
「...じゃあ」
そう言って私は彼の横を通り過ぎようとすると、
彼に腕を掴まれた。
私は驚いて振り返ると
「ねぇ、よかったらちょっと付き合ってくれない?」
そうまた微笑む彼に私は、
ただ頷くことしかできなかった。