優しい彼は残酷な人。
それから、手を引かれて着いたところはお洒落なバーだった。
彼がおすすめといったギムレットで乾杯をする。
「俺の名前は朔。君は?」
「...私は沙羅。」
「沙羅...か、沙羅は大学生?」
「うん。あなたも?」
私がそう言うと、彼は少しむくれた顔をした。
「あなたじゃなくて、朔。」
「.....朔も....大学生?」
すると、朔は満足げに頷いた。
「.....まぁ、一応?...最近行ってないんだけどね。」
そう言って悪戯っ子のように笑う朔。
「じゃあ、サボってなにしてんの?」
ふつうに気になった私は聞いてみた。
「う~ん。好きな時に好きなことをしてる。
俺は自由が好きだから。」
冗談っぽく、けれどどこか真剣な瞳で言う朔。