純情喫茶―恋する喫茶店―
「――母の居場所は…?」

玲奈は呟くように、彼らに居場所を質問した。

頭らしき男が玲奈のところに歩み寄ると、
「悪いが、自分の母親ならば自分たちで探してくれねぇか?」

そう言い残すと仲間と一緒に銀行を出た。

玲奈は手の中にある借用書に視線を落とした。

「これで、母さんは無事だな」

笙が言った。

「わからないわよ、本当に無事なのかどうかなんて…」

泣き出しそうな玲奈の声に、笙は目をそらすようにうつむいた。

「借金を全て返済しても、私たちの前にお母さんが戻らなければ意味ないわよ!」

震えている手で借用書を握り締めながら、玲奈が言った。
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