純情喫茶―恋する喫茶店―
「そうなんですか」

そう言った玲奈に、
「言ってなかったけ?」

谷木が聞き返してきた。

「何も聞いてませんでした」

玲奈は首を横に振った。

「だよな、あんたのことはよく知っていてもあんたは僕のことを知らないもんな」

谷木がそう言って、玲奈の頭をなでてきた。

「知りませんよ」

玲奈が言った。

「なあ…もしも母親が見つかったら、僕とつきあってくれるか?」

谷木の告白に、玲奈は驚いて目を見開いた。

「好きだった。

あんたはそうじゃなくても、僕は好きだった。

いきなりは、無理かも知れない。

でも、あんたの気持ちだけは聞きたい」

谷木からの告白に、玲奈は返事をした。
< 105 / 117 >

この作品をシェア

pagetop