純情喫茶―恋する喫茶店―
笙の後ろ姿を見送ると、玲奈はカウンターの中へと入った。

後ろの棚からコーヒー豆と紅茶の葉を取り出した。

笙が帰ってくるまでの間、自分は飲み物の用意をするのだ。

あちこちの喫茶店で武者修行をしたこともあってか、玲奈はコーヒーと紅茶を淹れることが得意になった。

笙はいつものブルーマウンテンのコーヒー、自分はダージリンである。

「でも今日はアッサムにしようかな?」

独り言を言いながら、アッサムの茶葉が入った缶に手をかけた時だった。

カランコロンカランと、客の来店を知らせるベルが鳴る音がした。

笙が帰ってきたのだろう。
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