純情喫茶―恋する喫茶店―
そして、玲奈はその男性客に見覚えがあった。

「何になさいましょう?」

玲奈は彼に向かって言った。

「コーヒーを1つ」

バリトンの声が店内に響いた。

声を聞いた玲奈は、やっぱりと心の中で呟いた。

コーヒーを淹れながら、玲奈は男性客にチラリと視線を向けた。

向けられた視線に視線に気づいたのか、男性客は玲奈を見た。

「何か?」

そう聞いてきた彼に玲奈は微笑むと、
「初めてのご来店ですか?

谷木輝光様」
と、言った。
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