純情喫茶―恋する喫茶店―
男性客、谷木輝光(ヤギテルミツ)は驚いたと言うように目を見開いた。

彼は映画俳優兼音楽家として活動している。

「ご存知だったんですか?」

谷木が玲奈に聞いた。

「存じあげておりました」

玲奈は谷木の前にコーヒーを差し出した。

「この前谷木様がご出演なさっていた映画を、テレビで拝見しましたから」

そう言った玲奈に、谷木はコーヒーをすすった。

「確か、谷木様は主人公が働く風俗店のマネージャーの役でご出演なさったみたいで」

そう言った玲奈に、
「そこまで把握してらっしゃるってことは、僕のファンなんですか?」

谷木は質問した。

「いいえ、そんなことでファンになるような私ではございません」

玲奈は谷木の質問に答えた。
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