純情喫茶―恋する喫茶店―
「では何故?」

そう聞いた谷木に、
「何故でしょう」

玲奈は言い返した。

「つかみどころがありませんね」

そう言った谷木を玲奈は無表情で受け流した。

「でもそう言うつかみどころのない女性を、僕は好きなんですけどね」

谷木は笑いながら言った。

「そんなことで好きになられても、迷惑なだけですよ?」

玲奈はやんわりと言い返すと、カツンと手に持っていたポットをテーブルのうえに置いた。

こう言う状況を回避する方法は学生時代に学んだからよく知っている。

谷木はため息をつくと、コーヒーを飲んだ。
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