純情喫茶―恋する喫茶店―

ナポリタン

翌日の昼、笙は1人で店にいた。

玲奈は昼食の買い出しのため、外出中だ。

古い柱時計とにらめっこしながら、笙は玲奈の帰宅を待っていた。

つい先日に開店したばかりと言うこともあってか、昼時なのに客はあまりいなかった。

(ま、これから徐々に客が増えて行くだろうな)

笙は心の中で呟くと、大きなあくびをした。

窓から暖かくて心地よさそうな日差しが差し込んでいた。

その日差しに誘われるように、ウトウトと眠りこけそうになったその時だった。

ベルの音と共に、誰かが店に入ってきた。

笙はすぐに姿勢を正すと、
「いらっしゃいませ」

笑顔で客を迎えた。

谷木だった。
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