純情喫茶―恋する喫茶店―
「あ、待って!」

玲奈はオレンジを追いかけた。

誰かの足元にぶつかったオレンジを、誰かが拾いあげる。

「すみません…」

オレンジを受け取ろうと手を伸ばした時、玲奈は相手の顔を見て驚いた。

「谷木様…」

谷木だった。

「あんたの?」

谷木に聞かれたので、玲奈は首を縦に振ってうなずいた。

彼女が返事をしたことを確認した後、谷木が袋にオレンジを戻した。

「ありがとうございます」

会釈をし、玲奈が去ろうとした時だった。
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