Letter ~世界一大切なキミへ~
「…何ニヤけてんだよ、キモいな。おいてくぞ」
「待ってよー、涼ちゃん」
毒ばっかり吐かれたけど、気にしない気にしない!
先に家を出て行った涼ちゃんを追いかけて、あたしも家を出た。
涼ちゃんは、家の前に止めてあった自転車にいつの間にか乗ってる。
「あ?お前、自転車ねぇじゃん」
ん?
「あぁぁ!!どうしよう」
あたしの自転車…
修理に出しちゃったんだった…。
「涼ちゃん、自転車修理に出しちゃった!どうしよう…
歩きじゃ絶対に間に合わないし…。
「ったく、しょうがねぇな。ほら、乗れ!」
そう言って、自転車の後ろを叩く涼ちゃん。
ホントは二人乗りなんてダメだけど…遅れたくはないし。
「ごめんね、涼ちゃん」
「おう。あとでおごれよ」
うっ…。
そういうところはちゃっかりしてる。
「分かった…」
遅れるよりはいいよね。
こういうところもあるけど、涼ちゃんはなんだかんだ言って優しいと思う。
たしかに、ヤンチャなところもあるし、結構周りから恐がられてるけど…。
根は意外と友達思いだし。