Letter ~世界一大切なキミへ~
「…ありがと」
「あ?なんか言った?」
「ううん、なんでもなーい」
聞こえてないならいいや。
なんか、ちょっと恥ずかしいし。
家を出発して約5分…。
涼ちゃんは息がすごいきれてる。
…あたしが乗ってるからだよね。
「ねぇ、涼ちゃん。時間に間に合わないでしょ?あたし重かったら降りるよ?」
だって、あたしのせいで涼ちゃんが遅刻したら、悪いじゃん。
もともと、遅れた原因はあたしなんだから。
「あ?うるせぇ、ゼッテェ間に合わせる!つか、重いこと自覚してんなら痩せろ」
…前言撤回。
たしかに優しいところもあるけど、涼ちゃんは鬼だ。
自分で言ったけど、なんかムカツク。
いや、あたしが重いのは知ってますけどね。
「悪かったね!重くて」
この、鬼!!
「…ちょっととばすぞ。掴まってろ」
「…………はい」
涼ちゃんが必死にこいで、10分後……
「おー、間に合った!」
まさかのまさかで間に合っちゃった。
もう絶対に間に合わないと思ったのに…。
「あー、アッツイ。汗かいたー」
そういえば、おごらなきゃいけないんだったっけ。
あたしはそこら辺にあった自動販売機でサイダーを買ってきた。
「サンキュー。奈月にしては気が利くな」
「いっつも一言余計なんだから」
まぁ、でも本当に助かったからね。