本当の答え
 私にとってはあまりにも残酷で、悲惨な光景だった。自分たちの投票によりクラスメートが殺されたとするならば、その屍を跨いで生きる事になってしまう。
 誰かの生きる権利を奪ってまで、私は生きたいだなんて思わない。そんなこと出来るほど私はいい身分ではない。
「あの…鈴…ちゃん?何し…て?」
「何って?
誰を消したいか話し合ってるだけだよ?
香奈ちゃんは誰にしたの?」
「え?いや…私は…」
「見せてよ」
 鈴ちゃんは、私から投票紙を強引に奪い取った。
「………は?」
 鈴ちゃんは、私の投票紙をみて文字通り固まってしまった。
「私は、私に嘘はつかないから…」
「意味わかんないっ
そういう偽善者ぶってるところ大嫌いなんだよっ!」
「別に…鈴ちゃんになんか好かれたくない…」
「もういいっ二人共!香奈ちゃんにしようっ」
「え…でも香奈は…」
 すずかが申し訳なさそうに翔汰を見た。
「時間がないからっ早く早くっ!」
ドンッ
「香奈ちゃんはどっか行っててよ
今までありがとね」
 あまりにも乾いた‘ありがとう’は、一気に私を現実世界に引き戻した。友情なんて形ないものは存在しないのだと。
 私が死んだとしてこの世界にはどんな影響があるのだろうか。
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