本当の答え
 離れたくない―――……‥
 なんとなく。本当になんとなくで。こんなの、私の下らない幻想かもしれないけれど、今みたいに、クラスのリーダー的女子に悪口だなんだと叩かれ、嫌われたとしても、翔汰だけ。翔汰だけは私のそばにいてくれる。そんな気がした。
 たった一言で救われた気がしたのだ。
「きっ聞いてくれっ!
聞く気があるやつだけで構わないから耳を傾けてくれっ!
自分に票を入れるんだっ
クラスメートの屍を跨いで生きていく事ができない人は、自分に!!票をいれてくれっ!頼む!」
 翔汰は、声を張り上げクラス全員に呼び掛けた。
 反感や激などが聞こえてくる中、翔汰は私を見つめていた。
 〔俺は大丈夫〕とでも言いたげな優しい目だった。
 私は、この人と今まで生きてこれて、なんて幸せ者だったのだろう。
 もう終わってしまうかもしれない人生なのに、少しも怖くない。恐くないのだ。
「翔汰…ありがとう。これ以上犠牲者が出な…」
「ザザッ…はいはい。イチャつくのは後にしてください」
 スピーカーから聞こえたあの憎たらしい声が、軽い嫌みが入っていた用に感じたのは私だけだろうか。
「では、投票紙を、入っていた箱に入れて、黒い廊下に捨ててください」
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