本当の答え
 どうやら10分経ったらしい。随分と長く感じた。
 この10分だけで、たった600秒という時間の中で、人の哀しい姿を見せつけられた。自分が死ぬことよりも、身体を半分に引きちぎられるような痛みを覚えた。
 名前の順番になるよう、皆一列に並び、箱に投票紙をいれていった。
 それぞれの思いが、この箱で重なっていく。
 私は、名前の順番が最後だったため言われた通り〈black a mist〉に箱を捨てた。
「では、投票結果を発表いたします」
 その言葉に鈴ちゃんは、私を見ながらニヤニヤしていた。
 私に、そこまで死んでほしいのだろうか。
 何故そこまで非常になれるのだろう。今まで体育祭や、クラスの出し物とか、一緒にやってきた友達だったはず。いくら相手にとって私が、友達と呼べる存在じゃないとしても、クラスメートには変わりなかったはず。
 私は、翔汰の元へ行った。
 せめて死ぬのなら、好きな人の腕の中で死にたい。
「ごめんね」
「大丈夫…俺は信じてるから……きっと大丈夫」
 そうだね。きっと大丈夫だよね。
 あえて声にはしなかった。きっと声になんかしなくても【音声】としてではなく【想い】として伝わるだろう。
「そろそろ準備はいいですか?」
「…………えぇ」
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