本当の答え
 けれど失いたくはないのだ。自分勝手な考えなのは分かっている。
 別に死ぬことは対して怖くはない。そんなもの誰にだって訪れるものなのだから。
 だとしても置いていかれるのだけは嫌だ。一人にされて、一生を悲しみを背負って過ごすだなんて考えたくないし、送りたいとも思えない。
「………………」
 私は、またぼーっと青く澄んだ秋晴れの空を眺めていた。
 人間関係とか、面倒なもの全てがなくなってスッキリした世界だったらいいのにな。
 汚い嘘も。泥のような感情め。何もかも無くなって夜には輝く星だけがあればいいのに。そんな青く澄んだ生命体であればいいのだ。
 不意に先生が立ち上がる。
「先…生?」
「なんか、あの放送から他クラスの人達の声が全く聞こえませんね」
「え…」
 今は授業中(一応)だから話し声が他クラスから聞こえて来なくても何も可笑しくはないはずなのに、先生は虚ろな目をして私に語りかけてくる。
「今は授業中だし…別に可笑しくな」
「先生見てきますね」
「え」
 言うが早いか先生は、ドアを開けて廊下へと足を踏み入れた。
 はずだった――…‥。
 でも、あるはずの廊下はそこに存在していなくて、先生は黒い闇に落ちていった。
「せっ先生!!!?」
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