本当の答え
 私はヨロヨロと歩き、愛する彼氏…翔汰の元へ行った。
 ほんの数メートルなのに、とても長く感じた距離だった。
「翔汰…」
「…ん?」
「これから…どうなるんだろう…」
「…分からない」
「そうだよね…」
 上手く笑えない。
 手足がガクガクと震える。
「大丈夫か?」
 そう言って私の手を握り締める翔汰の手も、かなり震えていた。誰だってこんな状態怖いんだ。
「ざざっ…あー…よし
こんにちは。二年A組の皆さん」
 スピーカーから聞こえた声は、数分前、この悲劇のはじまる前に聞いた男の声だ。
「こんなことになってしまっては怖いですよね
先生は、死んでいないので安心してください」
「なん…なの」
「そんな怖い顔をしないでください。ね?渡瀬香奈さん?」
「なっ!!?」
 スピーカー越しで、どうやって私の表情を見たのだろうか。そもそも何故私の名前を…。
「そんな顔をしていると…殺しますよ?」
 ゾクッとする。
「どうやってやんだよっ!?」
 玲くんが大声を上げた。
「んーそうですね。
大内玲さん。香奈さんをよく見ていてくださいね」
 バシュッ!
「ヒャっ!?」
「香奈っ!?」
 どこからか銃弾が飛んできた。
「分かりましたか?
殺されたくなかったら、私の指示に従ってください」
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