本当の答え
 嘘だ。
 絶対嘘に決まってる。
「では渡瀬香奈さん。まだ頬の傷は痛みますか?」
「え?……感覚が…ない」
「そうです。ここは…ザザッ…の世界。私たちが…ザッ…したプロジェクトなんです。撃たれても死にません。ザザッに戻るだけですから安心して下さい。
二年A組の誰かが私の…に勝てたら終わります」
 何の世界で何のものに勝てばよいのか。肝心なところがまるで聞こえてこなかった。
 こいつは、どんな顔をしているのだろう。私達が慌てるところを見て嘲笑うような顔をしているのだろうか。それとも人を殺したも同時な事をして残虐的な笑みを浮かべているのだろうか。
「その…私たちはどうしたらいい?」
「話が早くて助かりますね。簡単な駆け引きですよ」
「もったいぶらずに早く言いなさいよっ!!」
 友花が大声を上げた。
「危ねぇっ!」
バシュッ
 瞬間的に聞こえた誰かの声と、銃声の音はほぼ同時だった。
「…………」
 少しの静寂。
 声の主が小司一輝だと気づくのに数秒必要だった。
「小司…ありがとう」
「おう…」
 どうやら小司が友花を庇ったの出はなく銃撃にあわないよように押し倒したようだ。
「お見事…」
パチパチパチ
 スピーカーの向こうから明らかにバカにするような拍手が聞こえてきた。
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