無口な君とあたし
「ど、どうぞ…とりあえず中に」



部屋の中に招き入れることにした。ここでわたしはリビングの机の上に散乱している教科書に気づいた。非常にマズい。



「あ、これは。えへへ…今片付けるから」



これはサイアク。あたしの第一印象サイアクだ。部屋片付けられない女で決定だよね。



奇声をあげながら自分の部屋に教科書をぶち込む。全て片付け終わった時見た彼の表情は意外なもので。


「見苦しいところをお見せして申し訳ありません…」



「…」



黙ってはいたものの、笑っていた。はにかみながら笑っている表情は何とも爽やかさと可愛さがにじみ出ている。



その表情を見て、あたしの心の中に何かが生まれた気がした。



なんだろう。この気持ち。顔が熱い。
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