こっちを向いてよ、ダーリン!
圭くんと一緒にお風呂……だなんて、私ときたら、どれほど欲求不満なのか。
腰から胸にかけて残る圭くんの腕の感触は、とても夢だとは思えないほど。
現実世界に戻った今でも、異常な心拍数。
そのまま心臓が一人で勝手に歩いて行ってしまうんじゃないかと錯覚さえした。
茜が変なことを言うからだ。
圭くんに抱かれてみなさいよ、なんて。
「どうかしたのか?」
「――きゃっ!」
夢から覚めたと思ったら、リアルな圭くんがドアからひょっこり顔を出した。
思わず悲鳴を上げた私に、「なんだよ」と綺麗に整えた眉を吊り上げる。