こっちを向いてよ、ダーリン!
……そんなにハッキリと言わなくてもいいのに。
歯に衣着せぬところが茜の良いところだけれど、今の私にはパンチが効き過ぎてる。
「でもさ、大事な話があるって気を持たせるような言い方しておいて、彼女が出来た報告だなんて、沙羅のことをバカにしてる」
茜は熱いコーヒーに息をフーッと吹きかけて、カップにそっと口を付けた。
「……圭くんは悪くないよ。もしかしたらって、勝手に勘違いしたのは私なんだし」
「自分を振った男の肩、持つことないのよ」
茜は、「全く沙羅はお人好しなんだから」なんて言って、呆れたように私を見た。
圭くんは多分、彼女が出来たことで、これからの私たちのことについて話したかったんだと思う。
いつまでも同居を続けるわけにはいかないから。