こっちを向いてよ、ダーリン!
あの家が、いくら私のママとの共有財産だとしても、圭くんに新しい恋人が出来てしまった以上、私たちが一緒に住むことはできない。
あの家をどうするか。
私たちにとって、これほど大事な話はないだろうから。
私が病院で取り乱したりしなければ、圭くんはそのことも話したかったに違いない。
「それにしても、あの先生とは随分気が合うみたいじゃない?」
「え?」
からかい半分に茜が私を見る。
「どこが? 全然合ってなんかいないじゃない」
「だって、沙羅のピンチのときに二度も出くわすんだから」
「そんなの偶然。先生には、面倒な女だって言われたし」