こっちを向いてよ、ダーリン!
されるがままの私。
でも、その涼しげな目元が、私を通して違うヒトを見つめる視線を見逃さなかった。
……ママだ。
私越しにママを見ているんだ。
その事実に胸が軋む。
……そんな目で私を見ないでよ。
私はママじゃない。
その熱い視線で、心を焦がすほどに私を見つめてよ。
想いを込めて圭くんを真っ直ぐ捕らえるのに、こちらの意図などまるでお構いなし。
ポンと頭を軽く弾き、私から離れて行った。
慌てて捕まえようとした圭くんの香りにも、あっさりと逃げられる。