こっちを向いてよ、ダーリン!

もうイヤ。
一日のうちに二度も“面倒くさい女”だなんて言われると思ってもみなかった。


一体どうしろって言うのよ。


「とにかく、相手に彼女が出来ちゃったんだから、沙羅はおとなしく身を引くしかないかもしれないね」

「……分かってる」


分かってるよ、そんなこと。
だからこうして、茜の部屋に来たのだから。

そうじゃなかったら、あの家に居座り続けるもの。


「“圭くんの幸せを祈ってる”とか言って、最後は、いい女ってところを圭くんに見せてやりなさいよ」

「うん……そうだね……」


何かあれば、いつでもギャーギャー騒いで。
自分の主張が通らなければ、プイと機嫌を損ねる。

丸っきりお子様だった私。


もう、そういうのは卒業しよう。

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