こっちを向いてよ、ダーリン!

「おかえりなさい」


見上げた圭くんの顔は、私を見てどうしたらいいのか困惑気味だった。
視線の行き先がゆらゆらと揺れて、心許ない。


「毎日、こんな遅くまで病院なの? 大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ」


それもそうだよね。
聞いた私がバカだった。

大好きな彼女の元へ通うのに、大丈夫じゃないわけがない。
私が心配することでもないのだ。


「圭くん、ごめんね」

「……何を?」

「今まで、いろいろ困らせることばかりして。私……」


近づく別れの時が、私の緊張を高める。
何から言ったらいいのか分からなくなった。

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