こっちを向いてよ、ダーリン!
でも、違う。
分かってるんだ。
優しい視線も、この手も、妹に対する感情と似通ってるということは。
だからダメ、こんなこと。
圭くんの手をやんわりと拒絶した。
「圭くん……私、本当にここを出て行くね」
意を決して言ったのに。
「……その必要はない。ここは沙羅の家なんだから」
圭くんは、的外れなことを言い出した。
「私の家じゃないよ。ここは、圭くんとママの家。私は単なる居候。ママが亡くなって、圭くんに新しい恋人が出来たんだから、私が一緒に住んでいたらおかしいでしょう?」