こっちを向いてよ、ダーリン!

間違ったことは言っていないのに、圭くんは、ただ悲しそうに私を見つめるばかりだった。


どうして、そんな顔をするの?
厄介でお荷物の私が出て行くんだから、ホッとしたはずでしょう?


「まだ住むところも決まってないから、荷物はしばらく置いてもらうしかないんだけど……。決まったら、すぐにでも運び出すから、それまで置かせてね」


YESともNOとも、答えない。
圭くんには、まるで私の言っていることは聞こえていないようだった。


圭くん……?


「……それじゃ、私、そろそろ行くね」


どうしたらいいのか分からなくて。
これ以上、ここにいてはいけないような気がした。

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