こっちを向いてよ、ダーリン!

ついさっき別れてきたばかりなのに――……

圭くんに会いたい。
圭くんのそばにいたい。

止まらない涙。
悲鳴を上げる心は、どうしようもなかった。


先生の胸を借りてひとしきり泣いた後、先生は何も言わずに黙って茜の部屋まで送ってくれた。


「余計なことは考えずに早く寝ろよ」


そう言い残して走り去った車のテールランプをぼんやりと見送っていると


「おかえり」


茜の声が背中に掛けられた。
心配して出て来てくれらしい。

放心状態のまま、思わず抱きつく。

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