こっちを向いてよ、ダーリン!

「よしよし、頑張ったんだね」


茜は、先生同様、背中を優しくさすってくれた。
そうされているうちに、気持ちが徐々に落ち着きを取り戻していく。


茜の部屋に上がると、淹れたてのハーブティの香りがした。


「カモミールは心を穏やかにさせるって、何かで読んだから」


そう言って、ティーカップをテーブルに置いた。
私の話をとことん聞いてくれるつもりなのか、長い足であぐらをかいて、優しい笑みを浮かべる。


「どうして先生が?」

「学校でたまたま顔を合わせてね、沙羅はどうしてるかって聞かれたから、ついしゃべっちゃったの」


“つい”って……。


「そしたら、連絡先を教えろって言うから」

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