こっちを向いてよ、ダーリン!
“幸せを祈ってる”って。
“彼女とお幸せに”って。
結局は、言いたいことの半分も言えなかった気がするけれど、ちゃんと“今までありがとう”って伝えられたから。
いつもみたいに駄々をこねたり、騒ぎ立てたりしなかったから。
少しは大人の女として見てもらえたかな。
最後くらいは、そうだといいな……。
「今夜は一緒に寝てあげる」
そう言ってきかない茜とベッドに潜り込むと、伝わる体温がやけに心地良くて、目を閉じて暗闇に身を委ねると、途端に睡魔に襲われた。
そして、今夜はきっと眠れないに違いないという私の中の予想は、見事に外れたのだった。