こっちを向いてよ、ダーリン!
その通りだと言わんばかりに、先生は大きく一回頷いた。
腕組みに足組み。
先生は、少しでも動くとキーキー鳴るグレーの椅子に座ったまま、私をじっと見据える。
いつまでも茜の部屋にいるわけにはいかない。
それには、バイトを見つけて、何とか自立しないといけない。
それなのに、圭くんのところから出て来てから今日まで、バイトを選り好みして決めかねていた私。
現実が全く見えていないのは、自分でもよく分かっていた。
これはいい機会なのかもしれない。
「どうだ?」
「……お願いします」
私の返答に、先生は満足げにニンマリと笑った。