こっちを向いてよ、ダーリン!
「おっと、そろそろ行かないと看護師長に怒られる」
腕時計を確認すると、残っていたコーヒーを一気に飲み干して、先生は立ち上がった。
「ちゃんと働けよ」
余計なお世話だ。
それでも一応は、ここを紹介してくれた恩人。
それに、先生に付き合って言い合いをしていたら、私まで小学生レベルになってしまう。
「……はい」
素直に頷いて、先生を見送った。
そして、亜紀さんが先生の忘れものに気付いたのは、それから30分ほど経ったときのことだった。
「あら? これ……健二くんが忘れて行っちゃったのかしら」