こっちを向いてよ、ダーリン!
◇◇◇
夕方を迎えた陽だまりは、少しずつ客足が増えているようだった。
マスターも亜紀さんも「随分早かったね」と口を揃えた。
「先生に会えなかったので、受付にお願いして来ちゃいました」
半分だけ嘘を吐いた。
「ね、沙羅ちゃん、相談なんだけど……」
お客さんのカップを下げて厨房へ入ったところで、亜紀さんが声のトーンを落として真面目な顔をした。
亜紀さんが私に相談って、一体なんだろう。
緊張しつつ、言葉を待つ。
「今、お友達のところに居候してるって聞いたんだけど……」