こっちを向いてよ、ダーリン!

◇◇◇

夕方を迎えた陽だまりは、少しずつ客足が増えているようだった。


マスターも亜紀さんも「随分早かったね」と口を揃えた。


「先生に会えなかったので、受付にお願いして来ちゃいました」


半分だけ嘘を吐いた。


「ね、沙羅ちゃん、相談なんだけど……」


お客さんのカップを下げて厨房へ入ったところで、亜紀さんが声のトーンを落として真面目な顔をした。

亜紀さんが私に相談って、一体なんだろう。
緊張しつつ、言葉を待つ。


「今、お友達のところに居候してるって聞いたんだけど……」


< 162 / 276 >

この作品をシェア

pagetop