こっちを向いてよ、ダーリン!

「そうなんです。ちょっといろいろあって……」

「沙羅ちゃんさえ良かったら、ここの二階を使わない?」

「はい……?」

「今は私たちも近くのマンションに住んでるんだけど、店を出したばかりの頃は、この上に住んでたのよ」


住むには不便じゃないと思うのよね、と亜紀さんは続けた。

アパートを借りるにも、学生の私では保証人が必要で。
それを圭くんに頼むわけにはいかなくて、正直言って、困っていたのは事実。

亜紀さんの申し出には、すぐにでも飛び付きたかった。


「イヤかな?」

「いえっ、全然そんなこと! ただ、私なんかが住んでもいいんですか?」

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