こっちを向いてよ、ダーリン!

アリサ、アリサ、アリサ。

聞かされた名前を頭の中で何度も反復させる。


「――あ、え? アリサさん!?」


圭くんの妹さんだ。


『沙羅ちゃん、今どこ? 何時頃帰る?』

「あ、えっと……」


アリサさんは、私が出て行ったことは何も聞かされていないらしい。
返答に困ってしまった。

でも、圭くんの携帯から連絡をしてくるなんて一体何だろう。


「何かあったんですか?」

『お兄ちゃんが風邪で寝込んでるのは、沙羅ちゃん、知ってるのよね?』

「え!?」
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