こっちを向いてよ、ダーリン!
『ともかく、すぐに来てもらえないかな? あたし、これから用事があって行かなくちゃならないの』
「えっ……」
『それじゃ、お願いね』
私の返事も待たずに、アリサさんは電話を切ってしまった。
……どうしよう。
「何があったの?」
携帯を握り締めたまま呆然としていると、茜が難しい顔をして私の肩をトントンと叩いた。
「……あ、うん。圭くんの妹さんからだったんだけど、」
「何だって?」
「圭くんが寝込んでるから、今すぐ来てほしいって」
「そんなに悪いの?」
「……分からない」
「どうするの?」
「……どうしよう」
寝込んでいるなんてことを聞かされたら、放っておくこともできない。
具合が悪いのに、あの家に一人でいさせるなんて。
ベッドで辛そうに寝ている圭くんを想像したら、居ても立ってもいられなくなった。
「……茜、私ちょっと行って来る」
「えっ、沙羅!?」
驚いて呼び止める茜を一人置き、部屋を出た。