こっちを向いてよ、ダーリン!
ぼんやりそんなことを思い出していると、布団の中から出された圭くんの手が、何かを探すように宙を舞った。
「……さ、ら」
微かに動いた唇から聞こえた言葉に耳を疑った。
ドキドキと高鳴る胸。
“沙羅”
そう聞こえたような気がしたけれど。
……まさかね。
そんなわけがない。
「……沙羅」
否定した矢先に、もう一度開いた唇。
「……圭、くん?」
思わず、その手を握る。
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