こっちを向いてよ、ダーリン!
「沙羅、私、先に行ってるから」
「えっ? 茜!?」
呼び止める隙もなく、茜は私を置いて行ってしまった。
ヒドイ。
先生の相手を私一人になすりつけて逃げるなんて。
脹れっ面で先生を見ると、茜に向かって「バイバーイ」なんて調子良く手を振っていた。
「直接届けてくれればよかったのに」
「だって、忙しいんじゃないんですか?」
「まぁ、そうだけどね」
「それじゃ、私もこれから授業なので」
早いところ切り上げて、茜を追って行こうとすると、手に持っていた携帯がヴヴヴと振動を伝えた。
茜かな?
さすがに助け舟を出す気になったのかも。