こっちを向いてよ、ダーリン!
立っていたのは圭くんではなく……。
「こんばんは」
髪の長い、ちょっと繊細な感じのする綺麗な人だった。
圭くんと同じくらいの歳か、少し上といったところか。
一体誰だろう。
つられて「こんばんは」とだけ挨拶をすると、その女性は「沙羅さん、よね?」とふわりと笑った。
警戒するように頷く。
「伊沢くん――」
「あ、圭くんなら、まだ帰って来ていませんけど」
「知ってるわ。だから来たんだもの」
……だから来た? 何しに?